2024年4月26日、ジャンプ+で連載が始まった新作『銀青のプルースト』。
ジャンルは「百合×青春×学園」。ですが、その一言では括れない、思春期特有の心の揺れが丁寧に描かれた作品です。
今回は第1話を読んで感じた魅力を、ネタバレを極力抑えつつご紹介します。
お嬢様校の「恋愛禁止」ルール。その中で生きる少女の揺らぎ
時代は2012年。
豊薫(ほうくん)女学院高等学校は、良家の子女が通う伝統ある(?)女子校です。
格式を重んじ、特に校外での恋愛には非常に厳しい姿勢を取っており、違反が発覚すれば反省文の提出+一週間の謹慎処分が科されるという徹底ぶり。
そんな環境で生活するのが、主人公の生明和希(あざみ・かずき)。
中等部から校則を守ることに誇りを持ち、風紀にも厳しい。家はAZAMIグループという大企業の令嬢でもあり、まさに“模範的お嬢様”です。
しかし、そんな彼女の“規則で固められた日常”は、ある日を境に少しずつ揺らぎ始めます。
出会いは突然に──校則の外から吹き込む、自由な風
ある日、和希がふと目にしたのは、“カップルらしき男女”の姿。
そのうちのひとり、黒髪で制服を着崩した少女は、和希とはまったく異なる空気をまとっており、どこか挑発的でもありました。
目の前で起きた印象的な出来事に、和希は強い衝撃を受けます。
そして別の日の夜、偶然にも彼女と再会。名前も知らなかったその少女と、少しだけ会話を交わすことになります。
彼女は16歳。年齢は近いはずなのに、どこか大人びていて、気まぐれで、でもふとした瞬間に寂しさを覗かせるような笑顔を浮かべます。
香りや仕草、言葉の端々──和希の心は少しずつ惹きつけられていきます。
「好き」とは違う? でもこれは、確かに始まりの予感
『銀青のプルースト』が描いているのは、誰かを好きになる“前”の心の揺れです。
感情にまだ名前はつけられない。けれど、心がざわつく。
それを「恋」と断言するには早すぎる。
でも──何かが始まってしまった、そんな予感だけが胸に残ります。
誰かの存在がずっと頭から離れない
日常が、昨日とは少し違って見える
ルールよりも大切な何かがあるような気がしてしまう
そんな、恋に落ちる直前の揺らぎこそが、本作の魅力です。今はまだ派手な展開こそないものの、ひとつひとつのやり取りに確かなドラマが込められています。
まとめ|“まだ知らない感情”の始まりに触れる物語
『銀青のプルースト』第1話は、厳格なルールに囲まれた学園という舞台設定のなかで、
その隙間からこぼれるように芽生える、“名前のない感情”を描いた導入回でした。
今後、和希と謎多き黒髪の少女がどのような関係を築いていくのか。
そして、心に芽生えた想いは、どんなかたちに育っていくのか──。
感情の輪郭が少しずつ見えていく物語として、静かに期待が高まる一作です。
ぜひ、ジャンプ+でチェックしてみてください。